「人事哲学」HR Philosophy 日本でまだ語られていないこと〜2024年から最も大事なこと。 第一弾 データがドライバーになってはいけない。
1「データ駆動型人事 Data-Driven HR」、だがデータがドライバーになってはいけない。
「データ駆動型 データ・ドリブン」人事の世界では、最新のホットワードであるかも知れません。人事がデータの重要性に気づき、データのオーナーシップを持つことはとても大切で必要なことです。
実は私も、この人事の活動を始めた2018年10月から、特に「データ駆動型人事」を折りに触れてメインテーマまたはメインメッセージとしてきました。それはやはり、20年以上幹部として勤務してきた数社のグローバル企業においても、経営の場に人事がいない環境を多く体験してきており、その大きな要因の一つは「人事は数字を持っていない」ということを実感してきたからです。
2023年3月期決算より、人的資本の情報開示が約4000社の「有価証券報告書」を発行する企業に義務化が行われ、「データ駆動型 データ・ドリブン」人事もその潮流に乗り、話題に上がることが多くなりました。
しかしながら、未だまだ日本で本格化していないのは、そのデータを人事が扱うための専門知識「ピープル・アナリティクス」の教育と修得でしょう。
2「ピープル・アナリティクス」において1番の学び
昨年、私どものパートナーであるSHRM 主催のSHRM23 (世界最大の人事会議)のラスベガス会場において、SHRMのピープル・アナリティクスを受講しました。
講義は大変人気が高く、50人ほどの受講者が一堂に集まり、ピープル・アナリティクスの定義から、実践方法、演習などを2日間かけて学ぶプログラムです。
私の受講目的は、「ピープル・アナリティクス」の定義と分析手法の確認でした。
私自身、グローバル企業で20年以上C F Oの役割を日本法人で担っておりましたので、財務分析は専門家です。また、学術的知識も修得(米国公認会計士)しておりますので、今回の受講は、日本にこのSHRM「ピープル・アナリティクス」講座を導入するための調査でした。
結論から言うと:
- 分析の基礎は財務分析もピープル・アナリティクスも同じ
- 分析の目的も同じ
しかし、講義を通じて講師からの最も重要なメッセージがありました。
「人事は、ヒューマンのビジネス。ヒューマンを扱うということを絶対に忘れてはならない」と言うメッセージです。
HRM23 ラスベガス会場の様子
3「ヒューマン・セントリック」と「データ・ドリブン」
「人事は、ヒューマンのビジネス。ヒューマンを扱うということを絶対に忘れてはならない」この言葉は胸に突き刺さりました。
財務分析においても、数字ばかりに目を向けすぎると、とても大切なことが抜け落ちる経験を何度もしてきたからです。
財務分析の目的の企業の未来の成長のために、今私たちは何をすべきなのか、の道標をと立てる事にあります。ですから、数字のための数字による分析だけを行うと必ず何かが大きく間違えるのです。
ヒューマンを扱う人事という分野であれば、数字(データ)を扱うスキルが上がっていく過程で、「数字・数字」となると必ず、人(ヒューマン)が置き忘れられていきます。
人事がデータ分析の専門家にだけになってしまうのは、危険です。データを使える「人」の専門家でなければいけません。
では、どうするべきなのか?
「ヒューマン・セントリック(人中心)」のアプローチ
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「データ・ドリブン(データ駆動型)」のプロセス
であり、この実行のためにはやはり、
人事哲学・人事戦略・人事の数字
の実践が最も重要です。これは、人事の原理原則であります。
*次回は、「人事哲学」について本格的に語りたいと思います。
華園ふみ江
一般社団法人 人事資格認定機構
代表理事
米国公認会計士
ASTAR LLP 代表