【2030年のHR】6つの予測とHRの新しい心構え 「ピープル・エクスペリエンス部門」と「フィジタル」
最新のSHRM HRマガジンより抜粋日本語要約
(英語原文はこちらhttps://www.shrm.org/hr-today/news/hr-magazine/winter2022/Pages/the-future-of-human-resources.aspx)
コロナのパンデミックで、私たちは将来を予測して準備することがいかに困難であるか、苦痛を伴う形で思い出しました。しかし、その教訓はHRリーダーが先を考えるべきではないという意味ではありません。 2030年の6つの予測(HRが置かれる新しい環境)とそれに対するHRの新たな心構えと役割を紹介していきます。
1.新しい世代が引き継ぐ
2030年までにベビーブーマーは65歳以上になり、主たる労働力はジェネレーションZ (1997年以降に生まれた世代)に移行します。
ベビーブーマー世代は、仕事が単に仕事であるとする階層文化の時代に働き始めました。一方、ジェネレーションZのメンバーは、企業が自分たちの価値観に一致し、環境や多様性、公平性と包括性などの問題について自ら発言することを重要視しています。そのため、企業はより複雑な役割を担うようになりました。
ミレニアル世代とジェネレーションZのメンバーは、「仕事で認められること」を望み、仕事が自分の目的意識や帰属意識と合致していて、企業に柔軟性と継続的なキャリア開発の機会を提供することを求めています。自分が会社で十分に学んでいない、目的意識を見つけていないと。感じたら転職するだろうと専門家は指摘しています。
「なぜその仕事をする必要があるのか」を納得させる必要があります。単に『会社はお金を払っているから』というだけではありません」
2.デジタルトレーニングが必要になる
SHRM研究所の2022年人財トレンドレポートによると、HRプロフェッショナルの53%が、過去12か月間に求人応募者の基本的なスキルまたは知識のギャップに気付いたと報告しています。最も多かったギャップは、基本的なコンピュータースキルで35%でした。
コーン・フェリーは、2030年までに、十分な熟練労働者がいないために、世界中で8,500万人の雇用が満たされなくなると予測しています。必要なスキルを社内で開発することは、企業にとって自己保存策となるとしています。
HR部門は、必要なスキルを持った人財は社外から採用するというこれまでの採用慣行を変え、内部の従業員のデジタルスキルを開発する必要があると、PwCの製品およびテクノロジーの最高収益および成長責任者であるSuneet Duaは述べています。
ITだけでなく、すべての部門には、人工知能、「ビッグデータ」、量子情報 (コンピューターサイエンスと物理学の世界の量子力学) に精通した労働者が必要となります。
一部の CEO やHRリーダーは、象を一口で食べなければならない(大きなことを一挙に行おう)と考えている様ですが、HRリーダーは、従業員のデジタルスキル開発は小さいことから始めることの需要性を知ることだ(千里の道も一歩から)だとしています。
3.ピープル・エクスペリエンス部門が出現する
それはHR部門ではありません。ピープル・エクスペリエンス部門は、従業員の生きた経験とその成長に焦点を当てた新しいチームです、とロサンゼルスのグローバルITサービスおよびコンサルティング会社であるCognizantのシニアマネージャー兼イノベーションおよびディスラプションストラテジストであるKeahn Garyは述べています。
では、なぜそれがHRの仕事ではないのでしょうか。
「現在のHRは、会社を守るためにあります」HRは、『どうやって仕事を創造するか』というよりは、『どうやって雇用を得るか』という路線です。
ピープル・エクスペリエンス部門は、労働者の生きた経験に焦点を当て、従業員が改善に取り組み続けるようにする支援する部門です。
全世界に33万人の従業者を擁するゲイリーさんは、HR部門とこの新しいピープル・エクスペリエンス部門との関係を、例えて企業構造における会計と財務の関係と類似しているとするが、同時に異なる役割でもあると説明しています。
4.チームワークが新しいゲームプランになる
社内から、さらには社外からメンバーを集めてプロジェクトベースでの働き方が企業でも広く普及します。「私たちは階層的な働き方から脱却し、新しい働き方の構造に取り込まれます」と専門家は言います。
新しい働き方の構造では、従業員が所属先の上司のために働いていない可能性があるため、HRがインセンティブプログラムとパフォーマンスレビューを再考する必要があることを意味します。たとえば、年次業績評価から離れ、プロジェクトごとに従業員を監督している人からの継続的なフィードバックに焦点を当てる評価方法です。このアプローチはプロジェクトベースの環境でより適切に機能すると専門家はしています。
ただし、誰もがプロジェクトチームのコンセプトのファンであるとは限りません。プロジェクトベースの働き方構造では中央集権的な管理力を弱体化させるため、人気がない可能性があると述べています。たとえば、財務部門は、仕事を遂行するために必要な経費を費やす権限を与えられたプロジェクトチームを嫌うと専門家はコメントしています。
5.ロボットがより多くの仕事をしますが、人間が取り残される訳ではない
SHRM研究所の2021年の職場のオートメーション調査によると、HRプロフェッショナルの42%が、組織が今後5年間にわたって職場のオートメーションの使用、拡張、または開発を継続する予定であると述べています。 自動化と人工知能は、全社的に反復的なタスクを担い、また進化を続けます。特にHR部門内では、履歴書の山を分類したり、給与計算などを処理したりが可能でしょう。これにより、HR担当者は戦略的計画などのより魅力的なプロジェクトに取り組むことができます。
秘訣は、ポジションを排除するのではなく、自動化を使ってして面倒な作業を引き継ぐことです。「HR部門の在り方を根本的に再考しましょう」「最大限の自動化により、人間に集中できます。」とマッキンゼー・アンド・カンパニーの専門家は指摘しています。
「HR部門は、『データと自動化は悪』という考え方から転換する必要があります」HRがデータを親友として見ないなら…あなたは自分の仕事をしていません。」
6.フィジタル(リアル世界とデジタル世界の融合)がニューノーマルに
パンデミックの間、企業は多くの従業員、特にナレッジワーカー(知識を有する従業員)が自宅で仕事をしながら生産性を高めることができることを認識しました。昨年4月のSHRMの調査によると、従業員もリモートワークを気に入っており、米国の全労働者の半数近い、48%が転職の際にはリモートワークを条件にしています。
「ハイブリッドワークは定着しています」「それは特典です。人々は2年半のその特典を受けています。その特典を奪ってみてください。」
HRの仕事は、その特典を意図的に設計する方法を理解することです。「オフィスに出勤する必要性はいつで、オフィスの役割と目的は何なのか」と自問する必要があります。
HRは、従業員がオフィスから通勤距離内に住み、特定の時間に出社しなければならないことを正当化する為のルールを設定する必要があります。
マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、驚くべきことに、米国の雇用者の58%が、一部または常時リモートで働くことができます。また、選択肢生の場合、87%がリモートワークを選択しています。
HRは、経営陣と従業員の両方にとって信頼できるリソースであり、ハイブリッドワークの目標に焦点を合わせる必要があります。
HR部門は、各部門のリーダーと協力して、現場のニーズに最適なオフィス機能を特定することで、企業が不動産に必要とする要件を整理するサポートをします。このような戦略的計画は、企業が将来のニーズに合ったオフィスを設計する為に必要とされています。
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