日本企業 人事 はどう進化すべきか|グローバル競争を勝ち抜く人的資本経営と人事制度

日本企業 人事 はどう進化すべきか|グローバル競争を勝ち抜く人的資本経営と人事制度

日本企業 人事 におけるCHRO・グローバル人事・組織文化の未来 

日本企業 人事 は、いま大きな転換点にあります。終身雇用、年功序列、長期的な人財育成といった仕組みは、これまで日本企業の強みを支えてきました。

終身雇用や年功序列を前提としてきた 日本企業 の人事制度を、どのように進化させ、人的資本経営と組織の競争力につなげていくのか。 

この問いに向き合うとき、単に欧米型の制度を導入すればよいわけではありません。むしろ、日本企業が培ってきた人財育成、組織への信頼、チームで成果を出す文化を活かしながら、世界で通用する人事へ進化させる視点が重要です。 

本稿では、これからの人事リーダーに求められる専門性と、日本企業ならではのグローバル人事の可能性について考えます。 

日本企業 人事 は、いま何を問われているのか 

日本企業の人事はいま、大きな転換点にあります。終身雇用、年功序列、長期的な人財育成といった仕組みは、これまで日本企業の強みを支えてきました。しかし、グローバル競争が激しくなり、事業環境の変化も加速する中で、従来の人事制度だけでは競争力を維持しにくくなっていることも、多くの組織が実感しています。 

一方で、日本企業には今なお大切にすべき強みがあります。組織への信頼、長期的な視点、人を育てる文化、そしてチームで成果を出す力です。これらは、短期的な効率性だけでは生み出せない、日本企業ならではの資産です。したがって、人事改革とは、こうした強みを捨てることではなく、変化する環境に合わせて再設計することだと考えます。 

ところが、日本企業の人事改革は、「ジョブ型にする」「成果主義にする」「欧米型にする」といった制度論に偏りがちです。もちろん、役割の明確化や成果に基づく評価は重要です。しかし、本当に大切なのは、日本の良さを消してしまうことではありません。日本の強みを土台にしながら、世界で競争できる人事へ進化させることです。 

つまり、グローバル人事とは、海外の制度をそのまま導入することではありません。世界の知見を学び、自社の文化や組織の背景に合わせて、どのように実装するかを考えることです。 

日本企業 人事 グローバル化とは、日本らしさを捨てることではない 

「グローバル化」という言葉は便利である一方、誤解も生みやすい言葉です。一般的には、日本的なものをやめて、欧米型の制度に合わせることだと受け止められることも少なくありません。 

しかし、日本企業の人事を本質的に進化させ、国際競争力を高めるためには、日本の強みを中核に据える必要があります。日本企業には、その成り立ち、歴史、文化、雇用慣行があります。それらを無視して外側の制度だけを変えても、組織には根づきません。 

たとえば、ジョブ型、タレントマネジメント、サクセッションプランニング、ピープルアナリティクス、人的資本経営といった考え方は、これからの人事にとって非常に重要です。とはいえ、それらを単なる流行語や制度変更として取り入れるだけでは、組織は変わりません。 

なぜなら、人事制度は組織文化とつながって初めて機能するからです。日本企業が大切にしてきた信頼関係やチームワークを活かしながら、より透明性があり、より公正で、よりスピード感のある人事へ変えていく必要があります。 

したがって、日本企業が目指すべきなのは、「日本型か、グローバル型か」という二択ではありません。目指すべきは、日本らしいグローバル人事への進化です。 

私が考える人事のグローバル化とは、世界で通用する公正で一貫性のある人事制度を、その組織が育んできた文化と融合させることです。そのためには、日本企業の強みを理解したうえで、それを世界で通用する形に再設計することが求められます。 

日本企業 人事制度 終身雇用・年功序列をどう進化させるか 

日本企業で長く続いてきた終身雇用や年功序列についても、単純に「古いからやめる」と捉えるべきではありません。これらの制度には、人を長期的に育てるという良さがありました。まずはその強みを正しく認識し、そのうえで、グローバル人事への進化の中でどのように活かすかを考える必要があります。 

実際、長期的な雇用関係があったからこそ、社員は安心して働き、組織は時間をかけて人財を育てることができました。これは、日本企業の大きな強みです。 

しかし一方で、年次や在籍年数が重視されすぎると、若い人財や専門性を持つ人財が十分に力を発揮できないことがあります。変化の速い時代には、経験年数だけではなく、能力、専門性、成果、そして学び続ける力をより正しく評価する必要があります。 

そのため、グローバル人事への進化においては、役割や期待値をより明確にし、年齢や在籍年数にかかわらず、価値を生み出せる人財に機会を与えることが重要です。 

ただし、それは人を短期的な成果だけで評価するという意味ではありません。日本企業の良さである長期的な育成や組織への信頼を残しながら、より柔軟で、より戦略的な人事制度へ進化させることが重要です。 

ここで最も大切なのは、何を残し、何を変えるかを見極めることです。グローバル人事への改革は、既存の制度を壊すことが目的ではありません。グローバル競争と組織の未来に合わせて、制度を進化させることが目的です。 

ポーターの競争原理 だけでは測れない VUCA の時代へ 

これからのグローバルビジネス競争は、ますます、ポーターの競争原理だけでは測りきれないものになっていきます。したがって、グローバル人事への進化も、グローバルビジネスの競争環境と連動しながら、継続的に行われる必要があります。 

もちろん、ポーターの競争戦略は、組織が市場でどのように競争優位を築くかを考えるうえで、今でも重要な考え方です。しかし、これからのビジネス環境では、業界構造や既存の市場ポジションだけでは説明できない競争が起きています。 

たとえば、住宅設備や生活インフラに関わる業界において、競争相手がAmazonのようなデジタルプラットフォーム企業になるとは、かつては想像しにくかったはずです。従来であれば、競争相手は同じ業界内のメーカーやサービス提供者だと考えるのが自然でした。 

しかし実際には、EC、物流、データ、顧客接点を持つ企業が、従来の業界の枠組みを超えて市場に影響を与える時代になっています。顧客がどこで情報を得て、どのように比較し、どのチャネルで購入し、どのような体験を期待するのかが変われば、競争の構図そのものが変わります。 

つまり、これからの競争は、既存の業界分類や市場シェアだけでは捉えきれません。自社が属する業界の中だけを見ていては、変化の兆しを見落とす可能性があります。だからこそ、組織には、変化を察知し、学び、素早く動き、新しい価値を生み出せる力が求められます。 

まさに、私たちはすでに予測不能なVUCAの世界に入っています。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高まり、過去の延長線上だけでは未来を読めない時代です。 

このような時代には、単に製品、サービス、価格、シェアだけで競争力を考えることは難しくなります。変化を察知し、学び、素早く動き、新しい価値を生み出せる組織であるかどうかが問われます。 

つまり、競争力の源泉は、より人と組織に移っています。組織が予測不能な環境に立ち向かうには、人財の育成が欠かせません。そして、人財が育つだけでなく、その人財が力を発揮できる組織文化を醸成することが必要です。 

まさに、人財育成と組織文化は人的資本経営の中核です。人を育てるだけではなく、その人が挑戦し、学び、協働し、変化に対応できる文化をつくる。そこまで含めて、人事が経営に貢献する時代になっています。 

現実には、人財は制度だけでは育ちません。文化が人を育てます。そして、人が文化をつくります。この循環をどう設計するかが、これからの人事リーダーやCHROにとって、ますます重要な仕事になっています。 

この点は、日本企業にとっても大きな示唆があります。日本企業は、もともと人を長期的に育てる文化を持っています。ただし、これからはその育成を、より戦略的に、よりグローバルに、より変化に対応できる形へ進化させる必要があります。 

繰り返しになりますが、日本企業の強みは、人を大切にすることです。しかし、それを単なる安定や保護にとどめるのではなく、挑戦、成長、変革につなげることが重要です。その意味で、人財育成と組織文化の醸成は、これからの日本企業の競争力を支える大きなテーマだと考えます。 

日本企業 CHROに求められるものは何か 

今日においても、多くの日本企業では、CHROは人事経験者に限らず、社内でさまざまな職務経験を経て就任することが一般的です。これは、日本企業が長期的に社内ジェネラリストを育成してきた歴史とも深く関係しています。 

一方で、グローバルの視点から見ると、CHROや人事リーダーには、人と組織に関する高度な専門性が求められます。その意味で、人事以外の領域から人と組織のトップに就くというキャリアは、日本企業に見られる特徴的な傾向だと言えます。 

この仕組みは、これまでの終身雇用・年功序列を基盤として、長期的に社内人財を育成してきた日本企業においては、一定の合理性を持っていました。 

しかしながら、これからグローバル人事へ進化する日本企業においては、人事の最高責任者であるCHROに、人事の専門知識がより明確に求められる時代になっています。 

CHROの役割は、人事制度を管理することだけではありません。経営戦略を理解し、人と組織の側面から事業を動かすことです。ビジネスと人と組織をつなぎ、組織の成長と企業価値の向上に直接貢献していく必要があります。 

グローバルなビジネス環境では、どの分野の仕事にも専門的知識が求められます。グローバル人事においても同じです。経験や直感だけで判断するのではなく、人事という専門領域を体系的に理解し、人と組織をリードする立場として何が求められるのかを学ぶことが重要になっています。 

日本企業 人事リーダーに人事資格と専門性が必要な理由 

これは、日本の人事にとって非常に重要な示唆です。日本では、人事は経験でできる仕事、現場を知っていればできる仕事だと思われることがあります。しかし、CHROや人事リーダーに求められる役割は、もはや人事機能の管理にとどまりません。経営そのものに関わる役割です。 

つまり、人事のトップには経営の視点が必要です。同時に、人と組織に関する専門性も必要です。組織文化、リーダーシップ、報酬制度、評価、人財獲得、育成、サクセッション、変革推進。これらを経営戦略と結びつけて考えなければなりません。 

たとえば、財務の責任者がファイナンスを学ぶように、法務の責任者が法律を学ぶように、人事の責任者も人事を体系的に学ぶ必要があります。ここに、HRAIが人事資格にこだわっている理由があります。資格は単なる肩書きではなく、人事を専門職として学び、経営に貢献するための土台です。 

同時に、人事リーダーが専門性を持つことは、組織にとっても重要です。人事が経営に対して説得力のある提案をするためには、経験だけではなく、知識と理論に基づいた判断が必要です。 

まさに、人事資格の価値もそこにあります。資格を取ること自体が目的ではありません。人事としての知識・スキル・能力を高め、経営に影響を与える力を身につけることが目的です。 

CHROに必要なのは、人事の知識だけではありません。経営者と対話できる力です。CEOが何を実現しようとしているのか、事業にどのような変化が必要なのか、そのために組織はどう変わるべきかを考える必要があります。 

したがって、CHROは「人事の代表」ではなく、「人的資本を通じて経営を動かすリーダー」であるべきです。制度運用の責任者ではなく、組織の未来を設計する経営メンバーとしての役割が求められています。 

グローバル人事 は、制度運用から経営の対話の相手へ 

これからの人事は、人事制度を管理・運用するだけではなく、経営の対話の相手であり、経営戦略の担い手になる必要があります。人事が経営に入るということは、経営会議に出ることだけではありません。経営が直面している課題に対して、人と組織の観点から本質的な問いを立て、解決策を提示することです。 

たとえば、ある事業を成長させるために、どのような組織能力が必要なのか。どのようなリーダーを育てるべきなのか。どのポジションにどのような人財が必要なのか。これらの問いは、すべて経営課題であり、人事課題でもあります。 

そして、人事がその問いに答えられるようになると、組織における人事の位置づけは大きく変わります。単なる管理機能ではなく、事業の成長を支える戦略的な機能になります。 

そのためには、人事がビジネスに貢献できる専門性を持つ必要があります。それと同時に、経営側も人事を単なる制度運用の担当として見るのではなく、人的資本と組織文化を通じて企業価値を高めるパートナーとして捉える必要があります。 

まず、人事改革には、経営トップのコミットメントが欠かせません。そして同時に、CHROの実行力も重要です。改革を起こし、その改革を一時的な取り組みで終わらせず、組織文化として根づかせる。そのためには、精神論だけではなく、明確な戦略と具体的な施策が必要です。 

組織文化を変えるのは、人事の重要な役割 

人事制度だけを変えても、文化が変わらなければ、行動は変わりません。なぜなら、組織文化は、日々の意思決定や行動の積み重ねによってつくられるからです。 

どのような人が評価されるのか。どのような行動が称賛されるのか。どのようなリーダーが登用されるのか。それらが、組織の文化を形づくります。 

加えて、人事制度は組織文化を形づくる重要なメッセージでもあります。評価制度、報酬制度、昇進制度、人財育成の仕組みは、すべて社員に対して「この組織では何が大切にされるのか」を伝えています。 

だからこそ、人事は制度を設計するときに、単に公平性や効率性だけでなく、どのような文化をつくりたいのかを考える必要があります。 

これから日本企業が独自の進化を遂げるためには、組織文化の良さを活かしながら、変えるべき部分は変えていく必要があります。たとえば、和を大切にする文化は強みです。しかし、それが意見を言いにくい空気につながるのであれば、変える必要があります。長期的な信頼は強みです。しかし、それが変化への遅れにつながるのであれば、進化が必要です。 

つまり、文化は守るものでもあり、育てるものでもあります。だからこそ、時代に合わせて進化させることが大切です。 

まとめ: 日本企業 人事 に必要なのは「日本の強みを活かした グローバル人事 」 

日本企業に必要なのは、単なる欧米型の導入ではなく、日本独自のグローバル人事の確立です。日本企業の強みを理解し、それを世界で通用する形に進化させることが重要です。 

これからの競争は、従来の市場分析や競争戦略だけでは測れない領域に広がっていきます。だからこそ、人財育成と組織文化の醸成が、組織の競争力に直結します。 

ですから、長期的な人財育成を残しながら、専門性や成果をより正しく評価する。組織への信頼を大切にしながら、個人のキャリア自律を支援する。チームで成果を出す文化を活かしながら、多様な人財が力を発揮できる仕組みをつくる。これは、日本だからこそできる進化であり、強みです。 

つまり、グローバル人事とは、どこかの国の人事をまねることではありません。世界の知見を学び、自分たちの組織に合った形で進化させることです。 

まさに、HRAIのミッションである「人事で繋ぐ、日本と世界 HR Connecting, Japan to the World.」も、そこにつながっています。人事で日本と世界をつなぐ。それは、日本の人事を否定することではなく、日本の人事を世界に通用する形へ進化させることです。HRAIでは、皆さんと世界を繋げる場を提供しています。毎年11月に東京の会場で開催される「世界人事会議」では、日本の人事と繋がり共に学びたいという意欲を持った、海外からの参加団(政府機関・民間組織)が来日します。一人一人の行動が、日本の人事の未来を創ります。https://www.ghrjapan.org/26ghr 

学び続ける人事が、組織の未来をつくる 

最後に、読者の皆さまに改めてお伝えしたいのは、人事リーダーこそ学び続ける必要があるということです。人事は、人と組織の未来を扱う仕事です。だからこそ、常に学び続けなければなりません。 

学びのジャーニーには、さまざまなフェーズとチャネルがあります。人事資格を取得すること、セミナーやトレーニングで学ぶこと、グローバル人事の知見を得ること、人的資本経営を理解すること。そして、外部の人事プロフェッショナルや経営者と交流し、多様な視点に触れること。学びの機会は一つではありません。 

HRAIでは、Learn・Connect・Engageをテーマとした、グローバル人事プロフェッショナルの継続的学びと交流の場GHR-CONNECTION https://www.ghrjapan.org/ghrc を提供しています。 

人事リーダーが専門性を高めることは、組織の競争力を高めることに直結します。HRAIの哲学の一つに、「人事が変われば会社が変わる。会社が変われば日本が変わる。日本が変われば、世界に貢献できる」という考え方があります。https://hr-ai.org/about-us/ 

日本企業が世界に果たす役割は、今後ますます重要になると感じています。だからこそ、日本の慣行に閉じる人事ではなく、日本の良さを世界につなげるグローバル人事へ進化していく必要があります。 

GHR-ACADEMYについて 

HRAIでは、人事を単なる経験職ではなく、経営に貢献する専門職として捉えています。人事資格は、肩書きのためではなく、人事が経営、人的資本経営、組織文化、グローバル人事を体系的に学び、実務で活かすための基盤です。
https://www.ghrjapan.org/ghrp 

関連書籍のご紹介

日本企業の人事制度やジョブ型雇用について、さらに詳しく知りたい方には、華園ふみ江著『ジョブ型の7つの嘘と真実:あなたの会社でうまくいかない本当の原因』もおすすめです。

本書では、ジョブ型人事をめぐる誤解や表面的な制度導入の問題点を整理し、日本企業が自社の文化や人材育成の強みを活かしながら、人事をどう進化させるべきかを解説しています。

華園ふみ江

一般社団法人 人事資格認定機構
代表理事
米国公認会計士
ASTAR LLP 代表

日本企業 人事 はどう進化すべきか|グローバル競争を勝ち抜く人的資本経営と人事制度

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