ジョブ型結論

1「最も大切なこと」

最後に、最も重要な点として、どの国の組織であっても、解雇を念頭に「ジョブ」を基盤とした採用や育成、異動などの人事施策を行っているのではありません。

組織の目的は、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を実現することであり、ゴールを達成することにあります。その為には、一人一人の「ジョブ(職務・役割)」の明確化と同時に各人のKSA(知識・スキル・能力)を組織が把握することが最も有効であり、不可欠であるとされているのが「ジョブ型」と日本で言われている、多くの国で行われている人事の本質です。

一方で日本型人事いわゆるメンバーシップ型にも利点は沢山あります。人事施策に欠点のない解決策や画一的な万全策はありません。

ここでの結論としては、最も重要でそしてまず行うべきことを申し上げます。それは、それぞれの組織が、「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」の実現とそこから設定されるゴールの達成のために、組織内の人的資本(ヒューマンキャピタル)をどのように有効活用するべきであるか、という「人事哲学」を考え決めることです。そしてそこから「人事戦略」に落とし込む必要があります。その「人事戦略」が「ジョブ型」への転換なのか、「メンバーシップ型」の維持なのか、それとも「ハイブリッド型」なのか。これは今、日本の経営者に向けられた最も重大な問いではないでしょうか。

幸い日本にはアメリカ含め先行事例が沢山あります。「働き方改革」「リモートワーク」そしてやっと「ジョブ型雇用」を考える環境となりましたのでこれからが本番だと思います。

2「人事の専門職化は不可欠」

HRAIでは、人事の専門性を促進し、企業戦略の一旦として人事戦略を司れる人事が日本に根付くことを促進するために、「世界基準の人事の教育と資格を日本に」をミッションとして活動をしています。

組織において一人一人の専門性を追求する人財フィロソフォーが根付いていき、大学の教育過程においてもよりビジネスの専門性について学べる機会が増えるよう、これからの教育とビジネスの相互エンハンスメントも視野にいれて、HRAIは活動を続けていきたいと思います。

 また、現在のそしてこれからますます加速するボーダレスの国際競争を考えるとき、多くの国では国策として専門性のあるビジネスパーソンを積極的に育成しています。そして競争力のある人事施策を国として推し進めていく為にSHRMと契約している国もあります。(2019年アラブ首長国連邦、2021年サウジアラビア王国がSHRMと契約を締結しています)。

これからの国際競争の中で日本企業が競争力を高め、より発展していく為にも一人一人の専門性を高めることを組織の中では人事が中心となって行い、また社会全体で追求していくことは不可欠になっていくと思っております。

HRAIでは世界基準の人事の教育と資格の普及により、日本の人事の専門化を促進することにより日本の企業の継続的発展を支援し、安定した社会の形成にも貢献したいと考えています。


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華園ふみ江

一般社団法人 人事資格認定機構
代表理事
米国公認会計士
ASTAR LLP 代表

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