これらからの人事〜2022年からの10年【3月号】ファイナンス(CFO)〜人事(CHRO)の路 CFOの普及がもたらすファイナンス部門の変化
CFOが就任すると、ファイナンスのスタッフへの期待・要望も変化します。
『数字を管理する役割』から『CFOが担うビジネス戦略の為の補佐を行う人財』が必要になる為です。
そこで、日本においてもグローバル企業を中心に、2000年から増加したポジションが、ファイナンス・ビジネスパートナーやFP&A(ファイナンシャル計画と分析)です。
『数字を入力し管理する役割』から、『アウトプットをし、戦略のシナリオを作れる資質・能力が求められる』ポジションです。
グローバル企業では、ファイナンスのビジネスパートナへのトランスフォーメーションは急激に行われました。
その影響はファイナンスの各層に及び、マネージャー以上のポジションでこれまで管理的役割だけしか担ってこなかったり、スタッフレベルで特定の会計ソフトやERPの操作を熟知しているが会計基礎の知識が不足しているなどの場合には、ポジションを維持したりキャリアを伸ばすことが困難な状況に陥ることが多くなりました。
また日本の大手企業を含めグローバル企業では、シェアードサービスセンター(業務集約拠点)をコストの安価な国に作り、会計作業に係る仕事を社内外注(日本国外に移転)することも多く行われました。
この様な変化は、実際の国勢調査でも如実に数字に表れています。
以下に引用したデータは2010年の国勢調査を基に、会社四季報が日本国内で1995年〜2010年の15年間で「増えた仕事」「減った仕事」の上位20のランキングを導き出したものです。
日本国内における会計事務従事者は、1995年〜2010年で113万人減少して、農耕従事者に次いで、ワースト2位となっています。
これは会計ソフトウェアの普及などテクノロジーの発展が背景にありますが、やはり減少した会計事務従事者は、記録のインプットの仕事を中心にしていたのでしょう。
急速に減少している会計事務従事者ですが、ファイナンスビジネスパートナーやFP&A(ファイナンシャル計画と分析)についてのニーズは確実に増えていますので、会計事務従事者の競合は更に加速しています。
会計の記録、数字の管理をする仕事は海外のシェアードサービスにも移管されていますし、さらには、これまで請求書・領収書などの紙の原本でのやりとりや保管を必須としていた時代からデジタル管理の時代になりました。これでは管理を中心とした役割の会計事務従事者の減少傾向は今後も止まることはないでしょう。
参考資料
しかし、実際には日本の職業構造は劇的に変化している。
8月28日発売の『会社四季報 業界地図2016年版』では、直近の国勢調査(2010年)を基に、職業別就業人口が15年前からどれほど変化したかを独自計算。職業分類の変更により比較困難なものは省略し、1995年〜2010年に日本国内で「増えた仕事」「減った仕事」の上位20のランキングを掲載した。
先に述べた通り、CFOが存在するファイナンス部門では必ずFP&A(ファイナンシャル計画と分析)において高度な知識と経験を有する人財が不可欠です。
しかしながら日本ではFP&A(ファイナンシャル計画と分析)の人財の育成も遅れています。
2019年3月に、10年ぶりに厚生労働省が刷新し発表した「事務系職種の人材育成のために」というマニュアルの作成に委員として参加しました。
旧版(2009年度版)まではファイナンス職種にはFP&A(ファイナンシャル計画と分析)が含まれておりませんでした。
現行版ではファイナンス職の担当委員を勤めましたので、FP&A(ファイナンシャル計画と分析)職を「経営管理分析F P&A」と定め、新たに追加することができました。
「職業能力評価基準」など人財の確保・育成・定着のための手法やプロセスが細かく作成されています。是非ご活用ください。
*次月号は来月10日に掲載いたします。
華園ふみ江
一般社団法人 人事資格認定機構
代表理事
米国公認会計士
ASTAR LLP 代表
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