グローバル人事が担うものとは?

人事の仕事に影響を与えていること

1990年代まで多くの大手日本企業はグローバル展開しつつも基本的に日本のポリシーや制度をグローバルで展開してきました。そして、2000年以降ITテクノロジーを屈指した欧米企業が急増し、欧米型ビジネス戦略や組織構造と共に人材の多様化、そして人事制度のグローバル化も推進されてきました。

更に、2010年以降のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、先進国における業務の5割近くが2030年までになくなり、現在の小学生の6割は今ない仕事に就くと予測されています。

つまり、ビジネス変革と業務変革を余儀なくされると共に、新たな業務をこなす能力を習得することも必要となります。

そして、今回のコロナ禍の影響で安全衛生面の変化、DXの加速化、プロセスと仕事の変化と共に、働き方まで大きく変わっていきます。欧米の企業はこれらの変革の推進と共に、本社や拠点の縮小化と移動を既に進めています。

こういった状況の中、皆さんの会社ではどのような戦略転換や変革を推進されているのでしょうか?

そして人事はその企業変革においてどのような貢献をしているのでしょうか?

人事の使命と役割

皆さんの会社の人事の使命はどのようなものでしょうか?

欧米優良企業の人事の使命は会社のミッション・ビジョン・戦略・価値観を実現するために社員の能力と可能性を最大限に高め、健全で働き甲斐のある組織環境や文化を築くことです。

前述した様々な変化により多くの企業でビジネス戦略と組織戦略が変わっていきますが、ほとんどの戦略的変革は社員の考え方と行動の変化、即ち、組織文化の変革を必要とします。

社員の能力・マインド・行動、組織文化の強化は人事の重要な役割です。在宅勤務やリモートワークが常態化するニューノーマル環境でのビジネス戦略の変遷期はまさしく人事部門の本領発揮の時期です。

グローバル人事の重要性

市場、顧客、そして、社員もグローバル化していく中、当然、人事ミッションと制度もグローバルに通用するものでなくてはなりません。

グローバル環境ではグローバル人材、グローバルで貢献できる人を採用することは不可欠です。

グローバルでオンライン採用が基本になってきている中、グローバル人材の採用はますます困難になっていきます。皆さんの現在の人事のミッション・制度・プログラムは欧米やアジアの人材をどの程度、惹きつけ、動機づけ、パフォーマンスを最大化するものでしょうか?

私の前職2社目、P&Gの80年代の企業方針の人材に関する項目の冒頭で「採用も昇進も個人のパフォーマンス次第で決まり、人種や性別などに関わることはない・・・」を差別をしないことを明言し、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を実践し、LGBTQに対する支援もしていました。

D&Iの方針が明確で、且つ、現場で実践されていたからこそ、グローバルで人材が行き来し、数多くのイノベーションを生み出し、グローバルリーダーであり続けることができているのです。それは企業ミッションとバリューの実現を支援する人事戦略の貢献だといっても過言ではないでしょう。

私自身もグローバル全社のための教育プログラムP&Gカレッジの開発と導入を行いリーダーシップ強化を支援し、P&G台湾で人事部長としてトータル・リウォードの強化と社員エンゲージメントの向上を達成、北東アジアの組織開発・教育・採用のリーダーとして組織開発能力の強化を実現し、また、並行して、リージョンの紙製品事業部の戦略策定や組織/人材の強化を経営陣チームの一員として支援をしました。

これらはグローバル人事パーソンとして行うべき重要なビジネスと組織に対する貢献領域です。

SHRMとSHRMエッセンシャルズの意義

人材マネジメント協会(Society for Human Resource Management)は米国に本部を置く非営利団体ですが、「人事部門の能力と貢献度合いを世界規模で高めること」をミッションとし、毎年、グローバルで調査研究を行い、人事部全体、また、各機能の成功事例やベストプラクティス、そして人事パーソンに必要な能力、スキル、マインドを30万強の会員に紹介し、学ぶ場をグローバル規模で与えて続けています。

近年のSHRMのスローガンは「ベター・ワークプレース(より良い職場)を創り、ベター・ワールド(より良い世界)にしよう!」です。(これは私個人のミッションと同じです。)

日本の職場の真の課題は「世界最低レベルの社員のエンゲージメント」、「ホワイトカラーの低い生産性(OECD35ヵ国中22位)」、「イノベーションの不足」という3つです。

3つとも人事部門の貢献できる領域ですが、特に最初の2つ、エンゲージメントと生産性はまさしく人事の責任領域です。旧来の人事のあり方と制度を続けては、これらは変わりようがありません。戦略的人事、スコアカード、成果主義など様々なツールの導入を図ってきていますが、エンゲージメントも生産性も20年以上改善されていません。変えるべきはツールや制度ではなく、人事のあり方人事プロフェッショナルの能力そのものなのです。

SHRMエッセンシャルズはグローバル競争で企業が勝ち抜くために必要な人事部門のあり方と原則、人事プロフェッショナルの考え方、ものの見方、基本知識と能力を身に着けるためのものです。

戦略的人事のありかたと原則が理解できれば、変化の激しく不透明なVUCA環境でも、人事として取るべき道と方策を考えることができます。基本知識と能力を身につければ、外部コンサルタントに頼ることも激減し、また彼らの提案の良し悪しを判断できるようになります。

つまり、SHRMエッセンシャルズの受講は、ご自身の人事プロフェッショナルとしての貢献度合いを高め、市場価値も高めてくれます。

自身の貢献度合いと市場価値を高めたい方は、是非、SHRMエッセンシャルズに挑戦してください。皆さんのご参加をお待ちしています。

松井義治
一般社団法人 人事資格認定機構
理事・主席講師
HPO Creation 代表取締役

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